今日は、丹後のもう一つの西国三十三所観音霊場である「松尾寺」(まつのおでら)へ行ってみましょう。
松尾寺は、若狭との境に聳える「青葉山」(あおばさん 699m)の中腹、即ち丹後の最東端と言ってもよい場所に建っています。
この山は舞鶴市内から仰ぎますと、東西二つの峰が馬耳のように並んでいます(写真の右奥)。一方、福井県側から眺めますと、峰が重なって秀麗な形となり、「若狭富士」とも呼ばれます。
天橋立を自動車で出発すれば、大体の目安としては、西舞鶴の市街地まで40分、そこから東舞鶴を経て、国道27号線沿いのJR松尾寺駅まで、更に30分というところでしょうか。
松尾寺駅を通り過ぎてすぐ、府道564号線へ進入して山道を上ります。成相寺といい、松尾寺といい、西国観音霊場は険しい山中にあります。かつて歩いて松尾寺を訪ねた善男善女は、自らに試練を課して、寺を目指したことでしょう。私が訪ねたときも、白い装束を着てリュックを背負い、山道を歩いて登られる巡礼の方を見かけました。
松尾寺の創建は、成相寺に僅かに遅れる708年と伝えられ、今年は開山1300年に当たります。これを記念して今、本堂では本尊「馬頭観世音菩薩像」がご開帳されています。青葉山が馬耳に似た姿なのと、何か関係がありそうに思えました。
またこの寺は、多くの貴重な文化財を収蔵しておられます。今秋に「宝物殿」が完成し、これまで京都国立博物館へ寄託していた国宝の仏画「普賢延命像」や快慶作の「阿弥陀如来坐像」などを見せていただくことができます(有料)。
境内の鐘楼の傍らに、樹齢800年の大きな銀杏の木が植わっています。舞鶴市指定天然記念物で、まもなく黄金に色づくことでしょう。
2008.10.30 Thursday
西国第29番・松尾寺