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2008.11.19 Wednesday

大江山の彩り

 宮津市街の中央を南北に走る京街道を南下しますと、次第に道は細くなり、大江山の東側山腹の普甲(ふこう)へ向かう上り坂となります。
 現代は京都府道9号線となっていますが、江戸時代には宮津藩の公路が延びていました。石畳の山道を多くの旅人や商人が行き交ったと思われ、かつての面影が残っています。

 11月中旬、このあたりから道路の両側の木々は、赤や黄色に染まります。今日は普甲峠を越え、大江山の彩りをご紹介しましょう。
 峠を南へ下れば、木々の色がとても艶やかでした。
大江山南麓

 美しく色づいた山肌を見ながら南下し、「日本の鬼の交流博物館」への岐路を通り越してすぐのところに、「二瀬川(ふたせがわ)渓流」という谷があります。
 見上げると吊橋が架かっています。付近の駐車場に車を停め、吊橋に上ってみました。そこから渓流を眺めたのが、次の写真です。
二瀬川渓流
 緑の中の赤や黄色が綺麗でしょう? 宮津市街から車で30〜40分のところに、こんな美しい渓流があるのです。

 揺れる吊橋の感触を楽しんだ後、府道を引き返し、鬼の交流博物館への分岐へ入って、次に「鬼嶽(おにたけ)稲荷神社」を目指します。そこは大江山への登山口であり、雲海で有名であり、そして紅葉の名所でもあります。
 途中に「千丈ヶ原」(せんじょうがはら)という平坦地があり、そこから大江山の最高峰である千丈ヶ嶽(せんじょうがたけ)を眺めました。
千丈ヶ原
 山腹の木々が様々に彩られて、絵のようです。

 目的地の鬼嶽稲荷神社へ着いたとき、谷間に沈んでいた雲が上昇し、景色が見えてきました。
雲が上昇

鬼嶽稲荷からの眺め
 低地では見られない、鮮やかな色彩ですね! さすが「丹後天橋立大江山国定公園」です。

Author : 天橋立ホテル | 秋の丹後 |

2008.11.15 Saturday

宮津の錦秋

 前回のブログで、丹後では紅葉(もみじ)をそんなに見かけないと書きました。しかし勿論、見事な紅葉がないわけではありません。
 昨秋、私はすてきな紅葉を幾つか見つけました。今日は、宮津市街の秋を訪ねてみましょう。

 最初は、当ホテルから天橋立ビューランドへ行く途中で見かけた大きな楓の木です。葉全体が輝くような黄色に染まっていました。
文珠の黄葉

 また、私が北近畿タンゴ鉄道に乗って車窓を眺めていると、如願寺川を渡るときに偶然、鮮やかな紅葉を目にしました。列車を降りた後、改めて現地へ行って撮ったのが、次の写真です。
如願寺川の紅葉
 川を渡ったところにあるのが「如願寺」(にょがんじ)で、1024年開創の古刹です。江戸時代初期(17世紀後半)に建立された本堂・仁王門が、京都府指定文化財となっております。

 如願寺の北に、「山王宮日吉(さんのうぐう ひよし)神社」が隣接しています。同社の例祭が「宮津祭」であることは、8月23日のブログでもご紹介しました。
 この境内で山茶花(さざんか)の巨木が、無数の淡いピンクの花を咲かせていました。樹高9m、枝張り10mと言われ、宮津市指定天然記念物となっています。
山王宮の大山茶花
 周囲には紅葉も散見され、宮津の秋の彩りを満喫することができます。

〔注〕 これらの見頃は、今年は来週あたりになりそうです。

Author : 天橋立ホテル | 秋の丹後 |

2008.11.10 Monday

筒川の晩秋

 舟屋で有名な伊根から、国道178号線を北上しますと、半島を走っているとは思えないような山河が、ほどなく車窓に展開します。

 このあたりを流れる筒川(つつかわ)流域には、8月17日のブログでもご紹介した「浦嶋神社」があるなど、浦島太郎の伝承が今に息づいています。
 神社に伝わる由緒書では、浦島太郎は元々「浦嶋子」(うらのしまこ)という名前で、西暦478年に「常世(とこよ)の国」へ行き、825年に帰って来たのだそうです。時の淳和(じゅんな)天皇はこの話を聞き、浦嶋子を「筒川大明神」と名付け、小野篁(おののたかむら)を勅使として宮殿を造営させたと言います。
浦嶋神社
 境内資料室には、室町時代作とされる玉手箱も伝わっています。

 筒川に沿って河口へ下り、本庄浜(ほんじょうはま)に佇んで海を眺めますと、沖には、まず近くに鯛釣岩(たいつりいわ)、遠くに沓島(くつじま)を見ることができます。沓島の右側には更に冠島(かんむりじま)もあるのですが、この位置からは見えません。
本庄浜
 いかにも浦島太郎が帰って来た浜辺という感じがしませんか?

 筒川を遡ります。盆地状になっている流域には田畑が広がっています。更に奥へ進みますと、山々が次第に色づいてきました。緑の中に赤や黄色が点在して綺麗です。
木々が色づく

 以前、晩秋に京都の寺社の庭で、燃えるような紅葉(もみじ)を見ていた私は、丹後へ来て、この木をそんなに見かけないのに気づきました。京都では長い歴史をかけて、作庭を重ねてきたから目立つのでしょうね。
 そのかわり丹後半島では、山々全体が黄色に彩られるところが多く、行く秋を感じさせます。
全山が黄色に
 この辺の名産に「筒川蕎麦」があり、私も大好きです。

Author : 天橋立ホテル | 秋の丹後 |

2008.11.04 Tuesday

伊根の舟屋

 8月14日のブログで、天橋立から伊根(いね)までの道をご案内しましたが、今日は伊根の舟屋(ふなや)をもう少し詳しくご紹介します。
 
 私が初めて伊根の舟屋を知ったのは、1993(平成5)年に放映されたNHKの朝の連続ドラマ「ええにょぼ」でした。神戸の医大を卒業した新婚の女性研修医が、故郷の伊根に近い病院へ単身赴任し、遠距離夫婦のすれ違いや嫁姑問題に悩みながらも、医師として成長していく姿を描いたストーリーだったと記憶しています。
 当時、私は週末に神戸の街を歩くことが多かったので、神戸に親近感を持っていました。一方で伊根という地名は、その頃に初めて聞いたような気がします。
 因みに、「ええにょぼ」とは丹後方言で美人という意味だそうですが、私は今なお当地で直接、この言葉を(地酒の名前以外)耳にしたことがありません。

 さて、伊根の舟屋は今や有名な観光名所となっております。天橋立へ来られるお客様も、多く足を運ばれます。天橋立から伊根までの所要時間は、自動車を運転されて40分、路線バスに乗られて55分というところです。
 自動車の場合、国道178号線を進み、伊根町役場手前の交差点を右折されますと、舟屋群が建ち並ぶ集落へ行くことができます。
 舟屋は海から直接、船を民家の1階へ収容できるようにした構造で、現在約230軒あると言われています。今日は、舟屋や伊根湾をよく見るために、伊根湾めぐりの遊覧船に乗ってみましょう。私も昨秋、同じコースを体験してみました。
朝の伊根湾へ

 伊根湾は丹後では珍しく、南側が開けた入江です。日本海の荒波を防ぐ、天然の良港と言えるでしょう。
 遊覧船が出航しますと、乗船客の手にする「えびせん」を期待してか、多くのカモメが船を追いかけてきます。一説に、カモメは最近では魚よりも「えびせん」を好むとも聞きます。どうなのでしょうか?
 時折、カモメより大きいトンビまで舞い降りてきます。
遊覧船とカモメ

 遊覧船が伊根湾に入ります。湾口には「青島」(あおしま)という小島があり、蛭子(えびす)神社が祀られています。
 湾内にはところどころ、いけす筏が浮かび、浮桟橋のような場所で魚釣りをしている人もいました。舟屋群はぎっしりと並び、背後にはすぐ山が迫っています。
舟屋群
 瀬戸内出身の私は、潮の干満の差は大きいものだと思って育ちました。その目で見ますと、丹後の海は干満差が非常に小さく、それゆえに舟屋も成り立つのでしょう。
 船は湾内を一周し、30分の航海を終えて、元の船着場へ戻ります。

 その後、高台にある道の駅「舟屋の里伊根」(舟屋の里公園)へ行って、先ほど遊覧したばかりの伊根湾を見下ろしました。陽光を浴びて、水面が輝いています。
伊根湾を見下ろす

Author : 天橋立ホテル | 秋の丹後 |

2008.10.30 Thursday

西国第29番・松尾寺

 今日は、丹後のもう一つの西国三十三所観音霊場である「松尾寺」(まつのおでら)へ行ってみましょう。

 松尾寺は、若狭との境に聳える「青葉山」(あおばさん 699m)の中腹、即ち丹後の最東端と言ってもよい場所に建っています。
 この山は舞鶴市内から仰ぎますと、東西二つの峰が馬耳のように並んでいます(写真の右奥)。一方、福井県側から眺めますと、峰が重なって秀麗な形となり、「若狭富士」とも呼ばれます。
青葉山

 天橋立を自動車で出発すれば、大体の目安としては、西舞鶴の市街地まで40分、そこから東舞鶴を経て、国道27号線沿いのJR松尾寺駅まで、更に30分というところでしょうか。
 松尾寺駅を通り過ぎてすぐ、府道564号線へ進入して山道を上ります。成相寺といい、松尾寺といい、西国観音霊場は険しい山中にあります。かつて歩いて松尾寺を訪ねた善男善女は、自らに試練を課して、寺を目指したことでしょう。私が訪ねたときも、白い装束を着てリュックを背負い、山道を歩いて登られる巡礼の方を見かけました。
松尾寺山門

 松尾寺の創建は、成相寺に僅かに遅れる708年と伝えられ、今年は開山1300年に当たります。これを記念して今、本堂では本尊「馬頭観世音菩薩像」がご開帳されています。青葉山が馬耳に似た姿なのと、何か関係がありそうに思えました。
松尾寺本堂

 またこの寺は、多くの貴重な文化財を収蔵しておられます。今秋に「宝物殿」が完成し、これまで京都国立博物館へ寄託していた国宝の仏画「普賢延命像」や快慶作の「阿弥陀如来坐像」などを見せていただくことができます(有料)。
宝物殿

 境内の鐘楼の傍らに、樹齢800年の大きな銀杏の木が植わっています。舞鶴市指定天然記念物で、まもなく黄金に色づくことでしょう。
鐘楼と銀杏

Author : 天橋立ホテル | 秋の丹後 |