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2009.02.01 Sunday

新井の千枚田

 ここ数回のブログでは、天橋立・丹後の雪景色をご案内しております。
 最近は温暖化のせいか、年々積雪量が少なくなっていると、地元の方は言われます。確かに冬とはいえ、当地では頻繁に雪が降っているわけではありません。ただ降った雪は夜の間に凍り、なかなか融けないまま数日が過ぎるのです(道路は除雪されています)。

 少年時代を四国で送った私の記憶では、僅かな積雪でも一冬に1〜2度しかなく、しかも朝に一面の銀世界だとしても、昼頃には融けていました。ですから、たまたま数センチの積雪などあろうものなら、学校の休憩時間には運動場へ跳び出し、目を輝かせて級友と雪合戦に興じたことを思い出します。
 そんな私としては、本来は丹後地方の冬らしい雪景色を、次々と皆様にお知らせしたいのですが、そもそも雪の日がさほど多くないうえ、雪景色ばかり載せるのもどうかと思いましたので、1月11日のブログで立岩の様々な表情をお伝えしたのに倣って、今回も四季の移ろいをご紹介します。

 今日取り上げますのは、丹後半島東岸にある「新井(にい)の千枚田」です。
 舟屋で有名な伊根湾付近から北上しますと、国道178号線は海から遠ざかった山中を辿ります。途中で国道を離れて、東へ細い道を走れば、新井の集落に到ります。
 このあたりは、不老不死の仙薬を求める秦の始皇帝によって、東方の蓬莱島へ派遣された徐福(じょふく)が、上陸したと伝えられる地域です。この伝説は、紀伊半島の熊野をはじめ、全国各地に残されていますが、丹後でもこの地に伝わっているのです。「新井崎神社」には徐福が祀られています。
 私も伝説に惹かれ、新井崎の磯浜に立ってみました。真夏のことで、海は真っ青でした。今とは季節が違いますから、新井崎については、また折を見てお知らせします。

 さて、新井の千枚田です。集落の裏山斜面に、小さく仕切られた棚田が営まれています。田の傍から海を見下ろした風景を、四季折々に撮影してみました。今日はそれをご覧ください。

 まず晩春です。棚田には水が張られ、小さく稲の苗が見えます。沖に浮かぶ二つの島は、右が「冠島」(かんむりじま)、左が「沓島」(くつじま)です。
千枚田−晩春

 次は盛夏です。稲は既に、畦(あぜ)の草より高く育っています。
千枚田−盛夏

 続いて仲秋です。畦の草の色は変わらないのに、稲だけが黄金色に実っていますね。
千枚田−仲秋

 新年にも訪れてみました。先に降った雪が残っています。
千枚田−新年

 一旦雪を見れば、一面の銀世界も見たくなりました。機会を捉えて再訪した厳冬の光景が、次の写真です。
千枚田−厳冬

 季節によって海の色まで違うでしょう? 季節ごとの空の色を映しているのか、光線の強さが影響しているのか、カメラが捉える明暗の差が生じさせるのか、私には詳しくはわかりませんが、これも季節の移ろいの一つかと思います。

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |

2009.01.26 Monday

雪の大江山 〈2〉

 今日は、大江山の西側山麓から見た雪景色をご案内します。
 国道176号線は加悦谷(かやだに)に沿って通じており、天気が良ければ、車の行く手に大江山連峰を仰ぎながら走ることができます。

 雪原に陽光が当たりますと、表面が蒸発し、霧を発生させることがあります。次の写真は、降雪の翌朝に加悦谷を南下しながら撮ったもので、山裾には集落が連なっているのですが、うっすらと霧で隠されています。
野田川の雪野
 木の枝の着雪が、まだ融けていませんね。

 与謝(よざ)が近づくにつれ、国道は弧を描いて高度を上げます。そして峠手前の、高い橋脚上に架かる「加悦大橋」からは、加悦谷を眼下に一望することができます。
与謝峠から加悦谷を望む
 峠のトンネルを抜けると、道は福知山市へ下っていきます。私は京阪神へ出張した際など、逆方向からこの峠まで帰り着いたとき、北に開ける風景を見下ろして、「ああ、丹後だ」という気になるのです。

 加悦大橋の橋脚が連なる斜面には、与謝の集落が広がっています。
 このあたりの積雪量は多く、民家が雪に埋もれるように建っていました。次の写真は、その合間から大江山の最高峰「千丈ヶ嶽」(せんじょうがたけ 833m)を撮ったものです。
与謝から見た千丈ヶ嶽

 この集落は、加悦谷の最奥部と言ってよいところです。斜面を下りて集落を振り返りますと、背後に連峰の南西端にある「赤石ヶ岳」(あかいしがたけ 736m)が聳えていました。
与謝集落と赤石ヶ岳

 前回と今回のブログで、雪の大江山を見ていただきました。如何でしたか?

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |

2009.01.22 Thursday

雪の大江山 〈1〉

 酒呑童子の伝説で有名な「大江山」(おおえやま)は、丹後・丹波の境付近に幾つかの峰を持つ連峰で、最高峰は千丈ヶ嶽(せんじょうがたけ 833m)です。
 夏、気軽に登ったこの山も、冬になると様相を一変させます。冬山に登るには充分な準備が必要ですが、東西の山麓には福知山方面へ向かう車道が通じていますので、雪を被った麗姿を容易に仰ぐことができます。私も出張や用事でこれらの道をしばしば走り、その都度この山の美しさに触れ、心が洗われる思いをしております。
 今日は、大江山の雪景色の一端をご紹介します。

 宮津から京街道を南下し、普甲(ふこう)への坂道を上ります。晩秋、峠付近は紅葉が大変美しく、その様子は11月19日のブログでお伝えしました。
 雪の時季、目にするのは全く異なった色彩です。普甲峠に差し掛かると、遥か下方に宮津市街が見えました。
普甲峠から宮津を望む
 ここが近畿地方の一部かと思うくらい、一面雪に覆われているでしょう?

 峠を越えて雪道を下ります。沿道の木々は、初冬に葉を落としてからは、枯野といった風情でしたが、雪の後は目を瞠るほど美しい、純白の衣を身にまとっています。
梢の雪

 更に車を走らせます。晴れ間が広がったときなど、空の青と雪の白の取り合わせの眩しさに、思わず心を奪われます。
 そんなとき、私は車を道端に寄せて停め、素早く写真を撮ることにしています。もっとも行き交う車は少なく、邪魔になることもありません。
木々の雪と青空

 峠を下りて、「二瀬川(ふたせがわ)渓流」に到ります。ここの紅葉の美しさも、以前ご案内しました。
 季節が移り、雪が降りますと、すべての色彩が消えて、モノトーンの世界に変わるのです。
雪の二瀬川渓流
 渓谷の石は、随分可愛らしい形に雪が積もるのですね。

 今回は降雪の翌日、大江山東側山麓の道を進みました。
 次回は、西側山麓の道を行き、そこから見える大江山の雪景色をご紹介します。

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |

2009.01.17 Saturday

雪の天橋立

 昨年8月9日のブログで、様々な場所から眺めた天橋立をご案内しました。眺める場所によって、姿を随分変えることがおわかりいただけたことでしょう。
 しかし姿だけでなく、雪が降ると、更に風情が変わります。厳冬の今、雪景色の天橋立をご紹介します。

 最初は、天橋立の北側山腹にある「傘松公園」からの雪景色です。その形状から「斜め一文字」とも呼ばれる天橋立の典型的な風景で、古くから名所となっています。
傘松公園から
 雪が降ると、趣きが一層深まりますね。

 次は、南側山上の「天橋立ビューランド」からの眺めで、「飛龍観」(ひりゅうかん)と呼ばれます。龍が勢いよく天に昇るような形をしており、北側とは全く違った景観です。
雪の飛龍観

 高所から見下ろした後は、天橋立の砂浜へ出てみましょう。
 夏は海水浴場となって多くの人々で賑わっていますが、冬ともなれば、殆ど人影を見かけません。
天橋立の砂浜
 雪が波打際の近くに残っていますと、足跡をつけるのが勿体ないほどです。

 天気予報ではここしばらく、比較的暖かいとのことです。雪の天橋立をご覧になるには、事前の予報と、交通の便にご注意ください。

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |

2009.01.11 Sunday

立岩の表情

 昨年の暮れに「日本海の風濤」として、2度のブログで取り上げた間人(たいざ)の「立岩」(たていわ)へは、私は冬だけでなく、他の時季にも何度か訪れています。
 季節や天候によって、立岩と周囲の海は、表情を随分変えるのですよ。今日は、様々な季節の立岩をご紹介しましょう。

 初めて立岩を訪れたのは、春たけなわの頃でした。うららかな陽気で風はなく、気温が高くて水平線が霞んでいました。
陽春の立岩
 殆ど波が立っていませんね。

 夏、近くの砂浜は海水浴場となり、紺碧の海が果てしなく広がっています。(但し、昨年は護岸工事のため、海水浴はできませんでした。)
盛夏の立岩

 晩秋にも訪ねてみました。波が高くなり、海水の色も深みを増したように思います。
晩秋の立岩

 そして冬、海上風警報が出ているときなど、下の写真のように、荒れ狂った波濤が砂浜へ押し寄せてきます。
厳冬の立岩

 同じ場所とは思えない、多彩な表情でしょう?

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |