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2009.05.31 Sunday

初夏の丹後半島へ

 季節は春から夏へと、着実に移ろいを見せています。
 今日は、天橋立から国道178号線を伊根方面へ向かい、車窓から見える海岸の様子をご案内します。

 天橋立北端の府中を過ぎ、しばらく車を走らせますと、ほどなく右側に、栗田(くんだ)半島との間に挟まれた海が見えてきます。宮津湾です。
 日置(ひおき)の集落を経て、先へ進みます。栗田半島もそのうち見えなくなり、広々とした海原が、初夏の陽光に煌めきます。
 今の時季、海岸沿いには地元の方が育てた花が咲き、青い海に彩りを添えています。
波見海岸1
 ここは、里波見(さとはみ)という地区です。沖には伊根の亀島(かめしま)半島が見えてきました。
波見海岸2
 眩しい海と、鮮やかな花の色の取り合わせが、とても綺麗でしょう?

 そのまま北へ進めば、長江(ながえ)地区です。このあたりは、瀬尾まいこさんの小説を映画化した「天国はまだ遠く」のロケ地にもなりました。
長江海岸
 海と花を見ながらのドライブは、心が浮き立ちますね。

 伊根が近づく頃、国道は海岸を一旦離れて、山中を走ります。伊根湾の風景は5月3日のブログでもお伝えしましたので、今日はそちらには立ち寄らず、もう少し北を目指すことにします。
 蒲入(かまにゅう)漁港や経ヶ岬への道筋の途中、国道を東へ逸れて、(とまり)という集落へ向かいました。
 そこは入江になっており、漁港や海水浴場があります。
泊の入江
 初夏の日差しは強く、やがて来る真夏の輝きを予感させました。

Author : 天橋立ホテル | 春の丹後 |

2009.05.24 Sunday

加悦谷の晩春

 近年、都市近郊では宅地化が進み、まとまった田野がなかなか見られなくなりました。しかし丹後地方では、今も広大な田畑が耕されています。
 春から夏へ季節が変わる頃、田には水が張られ、濃さを増した山々の影を映します。最初の写真は、天橋立の南西−「加悦谷」(かやだに:与謝野町)の田園風景です。
大江山西麓1
 奥に見えるのは酒呑童子伝説の大江山(おおえやま)連峰で、こちら側は西麓に当たります。

 デジカメを持ったまま、左(北)を向いて撮ったのが、次の写真です。
大江山西麓2
 空を映した水からは、小さな稲が顔を覗かせていますね。遥か遠くには、丹後半島の山並みが眺められます。

 この近辺にある「温江」(あつえ)という集落は、歌人・与謝野晶子の夫である鉄幹(てっかん)ゆかりの地です。
 実は与謝野鉄幹自身は京都市で生まれましたが、彼の父親・礼厳(れいごん=浄土真宗の僧侶)が当地出身であり、明治初年から出身地に因んで、与謝野の姓を名乗りました。鉄幹は父の故郷である丹後を、妻・晶子を伴って幾度か訪れております。
 天橋立には彼らの歌碑があります。そして温江には、与謝野礼厳の追念碑が立てられていました。
与謝野礼厳追念碑

 温江はご覧のように、水田の懐かしい風景が広がる里です。初めの2枚の写真を撮ってから半月を経て再訪しましたので、草木の色がずっと濃くなっています。
温江の田野
 私には、日本の原風景のように思えました。

Author : 天橋立ホテル | 春の丹後 |

2009.05.17 Sunday

ハマナス咲く天橋立

 行く春を惜しむこの季節、好天の日を選んで天橋立を見下ろしますと、澄んだ空の下、白砂青松の浜が海中に延びる、豪壮にして優美な風景を楽しむことができます。
晩春の飛龍観
 この絶景を目にすれば、当地が古来「日本三景」とされたことに、思わず納得してしまいます。

 ところで、「知床旅情」の歌に「ハマナスの咲く頃」という詞がありますね。この詞に示されるように、この植物は北海道や東北地方など、冷涼な地域の砂地に自生しており、日本海側の南限は鳥取県と言われます。
 天橋立の砂浜にも、晩春から初夏にかけて、ハマナスの花が咲いているのです。
 文珠(もんじゅ:天橋立の南端)の廻旋橋を渡り、次の大天橋の手前で、砂浜に沿って東へ歩きますと、ご覧のような群生に行き当たります。
ハマナス咲く浜辺

 ハマナスを漢字で書けば「浜茄子」かと思いますが、どうやら正しくは「浜梨」のようです。
 砂浜に生えて、果実が梨のような形であることから、浜梨と名づけられ、その語尾が訛って、ハマナスとなったという説が有力です。
 紅色の花が咲きますと、青い海、白い砂浜が、更に美しくなりますね。
ハマナスの花
 バラ科に属し、果実は直径2cmほどの大きさで赤く、盛夏から初秋にかけて結実します。
 皆様も天橋立を散策される折、砂浜でハマナスを探してみてください。

Author : 天橋立ホテル | 春の丹後 |

2009.05.10 Sunday

宮津祭

 私がよく逍遥する京都は名だたる祭礼都市で、四季を通じて殆ど毎日のように、どこかで祭礼が行われています。一方、丹後地方でも春から秋にかけて、域内各地で多くの祭やイベントが催されます。
 かつて天橋立に赴任したとき、私はその多さに驚くとともに、大いに興味が湧いてきました。今回は、数日後に迫った「宮津祭」について、ご紹介します。

 この祭は江戸時代以来、城下町・宮津で最大の祭でした。宮津旧市街は東西に大別され、東地区は「和貴宮(わきのみや)神社」、西地区は「山王宮日吉(さんのうぐう ひよし)神社」を、それぞれ氏神としております。
 5月15日の夕方、旧市街では笛や太鼓の音が鳴り響き、祭の行列が練り歩いて、気分を盛り上げます。
 旧市街は狭い範囲に民家が密集していますので、祭が行われる両神社もそんなに離れてはおりません。私もまず和貴宮へお参りし、周辺で神輿の行列を見た後、山王宮へ行ってみました。
夜の山王宮
 まもなく祭の中心となる山王宮も、今はまだ人影がまばらです。

 午後7時半を過ぎる頃、急に見物客が増えてきました。「太神楽」(だいかぐら)が始まるのです。囃子を奏でながら、天狗や獅子に扮した行列が、神社の石段を上ってきます。
 獅子は口に宝剣をくわえ、拝殿へ入っていきました。
太神楽

 続いて、町内を練り歩いた神輿が神社へ戻り、勢いよく石段を上り始めました。「神輿還御」(みこしかんぎょ)です。祀られる神様が神輿に乗って、本殿へ帰ってこられたのです。
神輿還御
 神輿が拝殿に入りますと、境内の明かりが一斉に消されます。暗闇の中、人々が神様をお送りする「オー」という声だけが響き、荘厳な雰囲気です。

 山王宮の祭が終わりました。家路に着く私が、和貴宮神社の近くを再び通りかかったとき、「浮太鼓」(うきだいこ)が勇壮な音を鳴らしながら、なお氏子の家々を回っておりました。
浮太鼓
 地元の方々が実に晴れやかな表情で、祭に参加しておられました。正に、住民に愛される伝統の祭ですね。

Author : 天橋立ホテル | 春の丹後 |

2009.05.03 Sunday

伊根の晩春

 5月になり、日ごとに日差しが強くなってきました。
 今回は、伊根から丹後半島東岸にかけて、晩春の様子をご案内します。

 高台にある道の駅「舟屋の里伊根」(舟屋の里公園)へ行かれますと、伊根湾全体を見下ろすことができます。
 この時季、湾を取り囲む山は木々の緑が明るく、盛夏のような濃い色にはなっておりません。なんとも柔らかな表情を見せています。
晩春の伊根湾

 園内では、躑躅(つつじ)が赤・白・ピンクの花を咲かせ、非常に華やかです。
伊根湾と躑躅
 山の緑、海の青との色の取り合わせが、とても綺麗ですね。

 舟屋の里公園を後にして、国道178号線から少し東側へ逸れ、細い道路を北へ向かいます。これまで何度かご紹介しました、秦の徐福(じょふく)伝説や千枚田のある新井(にい)への道です。
 右側に、陽光に煌めく海が見えてきました。振り返りますと、伊根にかけて断崖が続いています。
伊根の断崖

 新井の海岸近くの棚田では、一面に水が張られています。これも晩春の風物詩ですね。
新井の棚田

 丹後半島を一周する国道178号線は、風景が大層美しいので有名な道路ですが、伊根の北では山中を通っています。
 お時間がありましたら、海側の道路を走ってみられても、丹後半島らしい美しい山海の眺望を、満喫できるのではないでしょうか。

Author : 天橋立ホテル | 春の丹後 |