行く春を惜しむこの季節、好天の日を選んで天橋立を見下ろしますと、澄んだ空の下、白砂青松の浜が海中に延びる、豪壮にして優美な風景を楽しむことができます。
この絶景を目にすれば、当地が古来「日本三景」とされたことに、思わず納得してしまいます。
ところで、「知床旅情」の歌に「ハマナスの咲く頃」という詞がありますね。この詞に示されるように、この植物は北海道や東北地方など、冷涼な地域の砂地に自生しており、日本海側の南限は鳥取県と言われます。
天橋立の砂浜にも、晩春から初夏にかけて、ハマナスの花が咲いているのです。
文珠(もんじゅ:天橋立の南端)の廻旋橋を渡り、次の大天橋の手前で、砂浜に沿って東へ歩きますと、ご覧のような群生に行き当たります。
ハマナスを漢字で書けば「浜茄子」かと思いますが、どうやら正しくは「浜梨」のようです。
砂浜に生えて、果実が梨のような形であることから、浜梨と名づけられ、その語尾が訛って、ハマナスとなったという説が有力です。
紅色の花が咲きますと、青い海、白い砂浜が、更に美しくなりますね。
バラ科に属し、果実は直径2cmほどの大きさで赤く、盛夏から初秋にかけて結実します。
皆様も天橋立を散策される折、砂浜でハマナスを探してみてください。
2009.05.17 Sunday
ハマナス咲く天橋立