私見ながら、丹後地方で特に「海」を感じさせるのが、先にご紹介した「丹後半島」東岸・北岸と、舞鶴市東部の「大浦(おおうら)半島」だと思います。いずれも彼方には茫漠たる大海原しかないという、地理的な特徴がそう思わせるのでしょうか。
東舞鶴の赤煉瓦建築を見た後、北上すると、トンネルを抜けたところに、「舞鶴引揚記念館」があります。
軍港であった舞鶴は、第二次大戦後は引揚港に指定され、1958(昭和33)年まで、多くの出征兵士や在留邦人の帰国を迎え入れました。跡地は公園となり、1988(昭和63)年には様々な史料を展示した記念館が完成しました。
公園内には、当時の引揚桟橋を象った展望台も設けられています。そこから舞鶴湾を眺めますと、長期の過酷な抑留生活を終えて母国の土を踏んだ人々、また彼らを出迎えた家族の、喜びや感動に思いを馳せずにはいられません。
一方で、待ち焦がれる人が帰ってこなかった家族の落胆・悲嘆を思うと、ひどく心が痛みます。
引揚記念館へ来るとき通ったトンネルを戻ると、すぐ交差点があり、そこを右(西)へ曲がると、ほどなく「舞鶴クレインブリッジ」という大きな吊橋(斜張橋)が見えてきます。全長735mで、市の名前に因んだのか、鶴をイメージさせる美しい姿です。
橋を渡り、長いトンネルを抜けると、左(南)へ行けば、海釣りや海上プラネタリウムが楽しめる「舞鶴親海(しんかい)公園」、右(北)へ行けば、農業公園や自然食レストランの「舞鶴ふるるファーム」があります。
次の写真は、親海公園内の、客船の形をした舞鶴発電所PR館「エル・マールまいづる」で、中にはプラネタリウムが設けられています。
この地域は、家族連れや小グループにとって、なかなか楽しく過ごせる一帯だと思いました。
大浦半島は、若狭湾に突き出た大きな半島です。海岸から離れると随分山深く、中央部には名刹「多禰寺」(たねじ)や「舞鶴自然文化園」があります。
自然文化園はなにしろ広大な敷地ですから、行楽客が多くても気にならず、四季折々の花をゆったりと楽しむことができます。園内を歩いていると時折、遥かに舞鶴湾が見えてきます。
自然文化園から北上して、若狭湾へ行き当たるところが「竜宮浜」(りゅうぐうはま)で、夏は海水浴場として賑わいます。伊根町の「浦嶋神社」といい、大浦半島の「竜宮浜」といい、丹後は海の伝説が実に身近なところです。
2008.09.04 Thursday
大浦半島へ