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2009.02.13 Friday

旧三上家住宅

 丹後地方に限らないと思いますが、暖かい2月がなお続いています。昨年の同時季に撮った写真を見ますと、雪の風景が多く、空も暗く、典型的な日本海側の冬を過ごしておりました。
 今月になってから、当地ではまだ雪が降っていません。雪の代わりに降るのは雨です。雪掻きは必要ありませんが、情緒も雪ほどでなく、私のように観光を生業にする者は、やはりこの時季は、雪景色を見ていただきたいという思いがします。
 前回のブログでご案内した世屋高原に引き続き、今回は当初、その北に広がる白銀の碇(いかり)高原をご紹介するつもりでした。しかしライブカメラを見れば、標高400mの高原にも拘らず、雪が殆ど融けて枯草が露出しています。そのような現況で、雪に覆われたときの情報を、強いてお伝えするのもどうかと考えました。
 丹後には、旧家のすばらしい住宅が幾つも残っています。それを巡ることにいたします。

 今日はまず、宮津市街にある「旧三上(みかみ)家住宅」です。昨年8月23日のブログで、宮津市街の見どころの一つとして、簡単にご紹介しております。
 三上氏は元禄時代創業の豪商で、屋号は「元結屋」(もっといや)といいます。酒造・廻船・糸問屋を営み、宮津の町政や藩財政にも深く関わりました。
 明治維新(戊辰戦争)時にはこの屋敷が、山陰道鎮撫総督・西園寺公望の宿舎となりました。建物が国の重要文化財に指定され、庭園も京都府指定名勝となっております。
旧三上家住宅

 主屋の入口をくぐりますと、土間の上部が吹き抜けになっており、太い梁や木組み、そして保存されている酒造のための施設が目に入ります。商家らしく、まず店舗部分があり、玄関で履物を脱ぎ、順路に従って奥へ進むのです。
 主屋は18世紀後半に完成し、19世紀前半にかけて増改築が繰り返されています。最も奥には「庭座敷」(にわざしき)があります。
庭座敷
 座敷の欄間には波間に躍る鯉が彫られ、長押(なげし)の釘隠しにも意匠が凝らされています。

 その室内から名勝の庭を眺めたのが、次の写真です。
名勝庭園
 住宅が狭い範囲に集積した宮津市街で、このような庭を見ておりますと、心が落ち着きますね。

 屋内を巡回し、台所近くの「奥座敷」(おくざしき)から玄関を振り返れば、商家の構造がよくわかりました。
奥座敷

 台所付近は、次のような雰囲気です。
台所

 この旧家の見学を終えたとき、かつて北前船で賑わった宮津の繁栄を、垣間見たような気がしました。

Author : 天橋立ホテル | 冬の丹後 |