私がよく逍遥する京都は名だたる祭礼都市で、四季を通じて殆ど毎日のように、どこかで祭礼が行われています。一方、丹後地方でも春から秋にかけて、域内各地で多くの祭やイベントが催されます。
かつて天橋立に赴任したとき、私はその多さに驚くとともに、大いに興味が湧いてきました。今回は、数日後に迫った「宮津祭」について、ご紹介します。
この祭は江戸時代以来、城下町・宮津で最大の祭でした。宮津旧市街は東西に大別され、東地区は「和貴宮(わきのみや)神社」、西地区は「山王宮日吉(さんのうぐう ひよし)神社」を、それぞれ氏神としております。
5月15日の夕方、旧市街では笛や太鼓の音が鳴り響き、祭の行列が練り歩いて、気分を盛り上げます。
旧市街は狭い範囲に民家が密集していますので、祭が行われる両神社もそんなに離れてはおりません。私もまず和貴宮へお参りし、周辺で神輿の行列を見た後、山王宮へ行ってみました。
まもなく祭の中心となる山王宮も、今はまだ人影がまばらです。
午後7時半を過ぎる頃、急に見物客が増えてきました。「太神楽」(だいかぐら)が始まるのです。囃子を奏でながら、天狗や獅子に扮した行列が、神社の石段を上ってきます。
獅子は口に宝剣をくわえ、拝殿へ入っていきました。
続いて、町内を練り歩いた神輿が神社へ戻り、勢いよく石段を上り始めました。「神輿還御」(みこしかんぎょ)です。祀られる神様が神輿に乗って、本殿へ帰ってこられたのです。
神輿が拝殿に入りますと、境内の明かりが一斉に消されます。暗闇の中、人々が神様をお送りする「オー」という声だけが響き、荘厳な雰囲気です。
山王宮の祭が終わりました。家路に着く私が、和貴宮神社の近くを再び通りかかったとき、「浮太鼓」(うきだいこ)が勇壮な音を鳴らしながら、なお氏子の家々を回っておりました。
地元の方々が実に晴れやかな表情で、祭に参加しておられました。正に、住民に愛される伝統の祭ですね。
2009.05.10 Sunday
宮津祭