今年は暖冬で、日本海沿岸でも積雪量は例年を大きく下回りました。昨年は3月になっても山地には残雪がありましたが、今年は全くありません。
桜が開花するまでの間、景色は枯野のままで、梅のほか華やかな色彩も見当たりません。ブログで写真をご紹介する身には、題材を探すのが難しい昨今です。
今日は、丹後地方を観光する中で比較的訪れることの少ない、「栗田(くんだ)半島」を巡ってみます。
この半島は、宮津湾の東方に突き出しており、付け根を国道178号線が横切り、短時間で通り過ぎるので、つい見逃してしまう地域かもしれません。
宮津市街が尽きるところで国道を離れ、湾岸に沿って自動車を走らせますと、栗田半島の西岸を進むことになります。宮津湾にせり出した小さな岬を「獅子崎」(しいざき)といい、天橋立に祀られる文殊菩薩が乗る獅子に因む地名と思われます。
次の写真は、その付近から眺めた宮津湾で、対岸に天橋立の砂嘴が横一文字に見えています。
岬の高台には稲荷神社が建ち、4月には三つ葉躑躅(つつじ)が斜面を覆います。また、高台からの眺めを「雪舟観」(せっしゅうかん)といい、雪舟の描いた国宝「天橋立図」の視点に一番近いとされております。但し、今では木々が生長し、ところどころで視界を遮っているのが残念です。
湾岸の道路を北上します。半島の先端近くまで行って、田井(たい)という集落の手前から山道へ入りますと、東側へ抜けることができるのですが、道が随分細いのです。そこで一般には、途中の獅子(ちし)という集落の三叉路を右折し、半島を横断されることをお勧めします。
栗田半島の東側では、栗田湾が弓なりの海岸線を形成しています。そちらの岬近くに、関西電力宮津エネルギー研究所の大きな施設が見え、一角に「丹後魚っ知館」(たんごうおっちかん)が設けられています。
館内には水族館があり(有料)、大水槽では多種多様の魚類や海亀が泳ぎ回る様子を、間近で観察することができます。
また別の水槽では、丹後周辺に生息する魚や、珍しい魚介類なども展示され、楽しい時間を過ごせます。
更に館外には、ペンギンやアザラシのコーナーもあり、愛らしい仕草を見ることができます。
こちらは、水族館としての規模は決して大きくありませんが、海に親しむのに良い施設だと思いました。
魚っ知館から道路を少し戻り、半島を北上しますと、静かな砂浜に出合います。ここは「越浜」(おっぱま)といい、夏には海水浴場として賑わいます。
砂浜の西端に、島陰(しまかげ)という集落があります。その名のとおり、半島の先端近くに、隠れるように営まれている集落で、田井からの細い山道もここへ下りてきます。
今回は、早春の栗田半島をご案内しました。
2009.03.09 Monday
早春の栗田半島