私が子供の頃に住んでいた瀬戸内地方の冬は、晴天の日が多く、空気は乾き、風も強くありませんでした。
一方、今住んでいる日本海側の当地は、北西の季節風が吹き、雨や雪の日が多くて、湿潤な冬です。但し対馬暖流の影響で、気温はそんなに低くありません。
そのような気候の違いが、当地に来てから日が浅い私にはまだまだ珍しく、日本海側に住んでいることを実感している毎日です。
昨年の今頃、私は車を幾度か丹後半島の北岸へ走らせました。荒れた冬の海を見るためです。瀬戸内の凪いだ海面は、琴の名曲「春の海」を思い起こさせるような穏やかさでしたから、私にとって日本海の風濤は、憧れの対象ですらあったのです。
前回ご紹介した間人(たいざ)の「立岩」(たていわ)付近の海岸は、高い波を特に間近で見られる場所のように思いました。
砂浜に立ち、沖を見ていますと、ご覧のような風浪が次々と押し寄せてきます。
波頭が幾重にも連なっているでしょう?
波は浜に近づくと、強い風を受け、先端が割れ、飛沫となって砕け散ります。
また時折、波長が重なって、瞬く間に津波のように大きくせり上がり、砂浜の私めがけて襲いかかります。
デジカメのモニターには、巨大な波濤が私を飲み込みそうに映り、驚いて思わず尻もちをついてしまいました。
2008.12.20 Saturday
日本海の風濤 〈2〉