これまで海岸に近い地域を中心に巡ってきました。丹後は海と切り離せませんが、内陸にもすばらしい場所が多くあります。
その一つが、今日ご案内する「加悦谷」(かやだに)です。
天橋立から見ると南西に位置する加悦谷は、大江山(おおえやま)山系を水源として阿蘇海へ注ぐ、野田川(のだがわ)の扇状地です。流域の岩滝町・野田川町・加悦町が2006年3月に合併して、与謝野(よさの)町となりました。
この地域は、高級絹織物「丹後ちりめん」を基幹産業としています。丹後ちりめんの全盛期は昭和30年代と言われますが、今も業界関係者は多く、加悦谷では耳を澄ますと、機織りの音が聞こえてくることもしばしばです。最近は長年培われた技法を活かし、ポリエステルやレーヨンなどの繊維で織ることもできるそうです。
次の写真は、加悦谷西部の「丹後ちりめん歴史館」で、この建物は元々老舗織物会社でした。館内では丹後ちりめんの歴史や工程を紹介してくれるほか、予約すれば手織り体験もできます。
加悦谷にはかつて鉄道が敷かれていました。1926(大正15)年に開業し、1985(昭和60)年に廃止された「加悦鉄道」です。次の写真は「旧加悦駅舎」で、現在の場所に移転・保存されることになりました。
加悦谷のほぼ中央に、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「ちりめん街道」があり、ノスタルジー溢れる街並みが続いています。
その中心地に「旧尾藤(びとう)家住宅」が建っています。同家は江戸後期には、生糸ちりめん問屋として活躍しました。邸内には蔵や座敷のほか、昭和初期の洋館など多くの見どころがあります。また季節ごとに展示内容が変えられ、四季の移ろいを感じます。
次回は、加悦谷の東部や南部まで、足を延ばしてみましょう。
2008.09.09 Tuesday
加悦谷を行く 〈1〉